
「健康のために雑穀米を選んでいるけれど、本当に効果があるのかな…?」
そんな疑問を抱えていませんか?
雑穀米は「低糖質」と思われがちですが、糖質量は白米とほぼ同じです。
では、雑穀米が体に良いとされる理由は何でしょう。 その答えは、食物繊維やたんぱく質がもたらす「食後の変化」にあります。
この記事では、雑穀米が健康的な食材として注目されている理由について、具体的な数値や食べ方のコツを交えながら、毎日の食事に無理なく取り入れるヒントをお伝えします。
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結論:糖質量はほぼ同等、設計次第で「太りにくさ」に差が出る
雑穀米は、種類や配合によって多少の違いはあるものの、糖質量は白米とほぼ同じです。
ただし、食物繊維、ミネラル、たんぱく質が多く含まれるため、血糖値の上がり方が穏やかになりやすいのが特徴です。
血糖値の上がり方が緩やかだと、満腹感が長持ちし、間食が減りやすくなります。また、急な眠気やだるさを防ぎやすいので、仕事や子育ての合間でも元気に過ごしやすくなるのが嬉しいポイントです。
そのため、雑穀米の配合や量、食べるタイミングを工夫することで、「太りにくさ」や血糖値コントロールに役立てることができます。
要点① 糖質量は白米とほぼ同じ

雑穀米の糖質量は白米と大差がないことを、具体的な数値で確認してみましょう。
【炊飯後での比較例】
| 白米 | 雑穀米 | |
|---|---|---|
| 炊飯後100gあたり | 約36g | 約35〜37g |
| 茶碗1杯(炊飯後150g) | 約54g | 約53〜56g |
| 1合炊き(炊飯後約330g) | 約118g | 約115〜120g |
いずれも「ほぼ同等」であり、雑穀の種類や割合を変えても、糖質量が極端に減るわけではありません。
【注意点】
- 数値は「炊飯後」の可食部100gあたりを基準にしています。
- 水分を含む量や計量方法(炊飯前または炊飯後、茶碗の大きさなど)によって、多少の違いが生じます。
- 雑穀の種類や割合によって、糖質以外の栄養価(食物繊維、ミネラル、たんぱく質)は変わることがあります。
要点② 食後の体感はGI、GLと食物繊維で変わる
GI(グリセミック・インデックス)値は「糖の吸収スピード」、GL(グリセミック・ロード)値は「吸収するスピードと量の両方」を示す指標です。
GI値は、血糖値を上げるかどうかに着目した考え方です。
これに加えてGL値は、糖質量にも着目した考え方といえます。
雑穀米には、水溶性・不溶性の食物繊維と適量のたんぱく質が含まれており、これらが一緒に働くことで、食後の血糖値の上昇がゆるやかになりやすくなります。
そのため、お腹が空くのを感じにくくなり、間食を控えることにも寄与します。
要点③ 配合・量・タイミングを最適化
雑穀米の配合・量・タイミングについて、3つの目的別に見てみましょう。
1. 腸活

水溶性と不溶性の食物繊維によって腸内環境が整いやすく、また消化をゆっくりさせて満腹感が持続できることを意識します。
食物繊維を多く含む種類の雑穀(押し麦やアマランサスなど)を中心に、白米:雑穀=7:3程度で炊きましょう。1食の量は、茶碗1杯(約150g)が目安です。
2. 減量・ダイエット
雑穀の食物繊維、たんぱく質で空腹感を感じにくくし、間食抑制を図ります。
食物繊維やたんぱく質を増やすことを意識して、白米:雑穀=7:3〜5:5程度で炊きましょう。1食の量は、茶碗1杯弱(120〜150g)で調整します。
昼はしっかり、夜は軽めの摂取を心がけましょう。
3. 運動日・エネルギー補給
糖質メインにすることで、速やかにエネルギーをチャージします。
体を動かすためには十分なエネルギーが必要ですが、急に血糖値を上げてしまうと疲れやすくなったり、集中力が切れやすくなったりします。だからこそ「必要な量を、緩やかに」がポイントになってきます。
また、血糖値の急上昇を防ぐには、食物繊維も少量入れると良いでしょう。
白米を多めにし、雑穀は少量(白米:雑穀=8:2程度)で糖質をしっかり補給します。1食あたりの量は、茶碗1.5杯(約200g)程度までを目安に、運動強度に応じて調整します。
タイミングとしては、運動する1〜2時間前の摂取が、血糖値を安定させたり、エネルギーを補給したりするのに適しています。
基礎知識:糖質=炭水化物−食物繊維/GIとGLを正しく理解
「糖質」は、日常生活では「炭水化物」と混同されやすいかもしれませんが、同じではありません。
食品に含まれる「炭水化物」は、体に吸収されて血糖になる「糖質」と、消化されにくい「食物繊維」の2つに分けられます。つまり、「炭水化物」から「食物繊維」を引いたものが「糖質」です。
さらに、食品を選んだり食べ方を考えたりする際には、血糖値や体重管理の目安となるGI値やGL値についても知っておくと役立ちます。
糖質と炭水化物の違い、表示ラベルの読み方
血糖値に影響する糖質の量をチェックする際は、栄養成分表示の読み方がポイントになります。
例えば、コンビニで昼食を買おうとしたときなど、手にとった異なる食品の糖質量を比較するには、必ず同じ基準に合わせることが大切です。
栄養成分表示では、主に100gあたりを基準にするケースと、その商品全体や1食分に含まれる栄養素を基準とするケースがあります。
また、野菜や果物、魚などの食品は、食べる部分である「可食部」と、皮や種、骨などを含めた「総重量」があります。
そのほかに、米や雑穀など、水を吸って加熱調理することで重量が増える食品もあります。実際は、白米といっても、炊飯前の生米なのか、炊飯後のごはんなのかによって、ずいぶんと重量が変わります。
当然、それぞれに含まれる糖質の量も違います。
そのため糖質量を比較するときは、「炊飯後/グラムあたり/1食分(茶碗1杯など)」というように、基準を統一させましょう。
なぜGLが重要か
GI値は食品ごとの「血糖値の上がりやすさ」を示しますが、現実には食べる量も関係してきます。そこで注目されるのがGL値です。
また日常の食事では、糖質だけを単独で食べることは少なく、食物繊維、脂質、たんぱく質なども同時に摂取されます。
これらの栄養素は、胃腸での消化吸収を緩やかにし、GI値を下げる方向に働きます。さらに、炊き方、冷め具合、加工度などの調理法によっても、消化速度は変化します。
そこで、糖質の「速度」と「量」の両方を考慮したGL値の方が、血糖値への負担を判断する上で有用と考えられています。
数値で比較:雑穀米・白米・玄米の糖質(生活量ベース)
雑穀米、白米、玄米それぞれの糖質量を、生活の中で実際に使う単位にして比較してみましょう。
以下の比較内容は、食品成分データベース(※)をもとに算出しています。
※ 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
100g/150g(茶碗1杯)/1合/おにぎりの目安
| 食品 | 炊飯後100gあたり糖質量(g) | 茶碗1杯(150g)あたりの糖質(g) | 1合(炊飯後330g)あたりの糖質量(g) | おにぎり1個(110g)あたりの糖質量(g) |
|---|---|---|---|---|
| 雑穀米(精白米+雑穀20%配合・試算) | 34.5 | 51.8 | 113.9 | 38.0 |
| 精白米(水稲めし) | 36.8 | 55.2 | 121.4 | 40.5 |
| 玄米(水稲めし) | 34.2 | 51.3 | 112.9 | 37.6 |
表に示した糖質量は、「炊飯後の可食部重量」を基準に計算しています。
実際の食事では、水分量の差、おにぎりの握り方、具材や混ぜ物の影響で誤差が出やすいため、目安としてご参照ください。
差が出るのは糖質の「量」よりも「質」と「組み合わせ」
茶碗1杯分で比べると、白米・玄米・雑穀米の糖質量はほとんど差がありません。糖質量だけで血糖や体重の影響を考えると、大きな違いは出にくいです。
でも、糖質の質やほかの栄養素との組み合わせによって、食後の血糖値の上がり方や満腹感に差が生じてきます。
具体的には、食物繊維やミネラルは消化吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑えます。
またたんぱく質は、消化に時間がかかるため、満腹感が長く続きやすいです。
つまり、白米単独で食べるよりも、雑穀米の配合を組み合わせたり、おかずを添えたりすることで、血糖の上がり方や満腹感に違いが出やすくなります。
主要雑穀の「糖質」と「食物繊維」の傾向と選び方
先ほども述べたように、糖質量だけを見ると、雑穀と白米は大きく変わらないものが多いです。
でも、食物繊維、たんぱく質、ミネラルのバランス、食感や風味で選ぶと、毎日の食事に無理なく取り入れやすくなります。
| 雑穀の種類 | 糖質 | 食物繊維 | 風味・食感 | 特長 |
|---|---|---|---|---|
| もちむぎ | 中 | 多め | ほんのり甘い、もちもち | 白米に近い食感で取り入れやすい |
| あわ | 中 | 中 | 小粒で上品な甘さ、ふんわり | 消化がよく離乳食や小さな子ども向き |
| ひえ | 中 | やや多め | クセが少なくさっぱり、ふんわり軽い | 軽い食感でごはんに混ぜやすい |
| 押し麦(大麦) | 低め | 多め | もちっとした歯ごたえ | 水溶性食物繊維が多い、腹持ち感がある |
| 黒米・赤米 | 中 | やや多め | もっちり、色味がアクセント | ミネラルやポリフェノール豊富、見た目も華やか |
もち麦・押し麦:水溶性繊維でGL対策と満腹感

もち麦や押し麦(いずれも大麦)には、「β-グルカン(水溶性食物繊維の一種)」などが豊富に含まれています。
この水溶性繊維が、糖の吸収スピードを緩やかにして、GL値(血糖値への負担)を抑える効果が期待できます。
さらに、プチプチとした粒の食感は、自然に咀嚼(そしゃく)回数を増やすため、満腹感を感じやすくなります。
そのため、白米に20〜30%ほどブレンドするだけで、普段のごはんの食感や風味を大きく変えることなく、取り入れやすいのが特徴です。
また、もち麦や押し麦は、冷えたごはんでも食べやすく、お弁当にも適しているため、毎日の食事や作り置きでも活躍してくれる雑穀です。
キヌア・大豆系:たんぱく強化で「間食欲」:を抑制

キヌアや大豆などのたんぱく質が豊富な雑穀、豆類をごはんに加えると、必須アミノ酸(※)のバランスが整い、植物性のたんぱく質を補えるため、PFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)のバランスが改善されます。
雑穀は、たんぱく質によって満腹感が持続しやすく、「もう少し食べたい」という感覚を抑えることができると考えられます。
つまり、結果的に食事の総摂取量を減らすことが期待でき、間食を控えるサポートにもつながります。
※必須アミノ酸とは、人が生きていくために必要なアミノ酸のうち、体内では作れないため食事から摂る必要がある、9種類のアミノ酸のこと
黒米・赤米・あわ/ひえ/きび:抗酸化・ミネラルの栄養価UP

黒米や赤米、あわ、ひえ、きびなどの雑穀を加えると、糖質に加えて、ポリフェノールやビタミンB群、鉄などのミネラルを補うことができ、栄養の幅が広がります。
特に黒米や赤米は色味が強く、見た目だけでなく、香りや食感にも個性が出やすいのが特徴です。
少量でも彩りや栄養価がアップするので、はじめは5〜20%程度を目安にブレンドし、好みに合わせて量を調整すると食べやすくなるでしょう。
実践:ダイエット/糖質コントロールの食べ方設計
糖質をコントロールするコツは「減らしすぎない」ことです。ごはんの量を極端に減らすのではなく、「賢く抑える」食べ方を設計することが、ダイエットを無理なく続けるポイントになります。
具体的には、白米に対する雑穀の配合比とその種類、そして食べる順番とタイミング、といった工夫をすることで、GL値を下げながら満足感を保てるようになります。
配合と具材:白米6+もち麦2+押し麦1+黒米1が汎用的
まず、基本配合の1つとして「白米6+もち麦2+押し麦1+黒米1」をおすすめします。この配合比はクセが強すぎず、見た目にも華やかで、日常の食卓に無理なく取り入れやすいです。
この主食に、たんぱく質(魚・肉・卵・豆類など)、良質な脂質(油脂・ナッツなど)、食物繊維(野菜・海藻・きのこなど)を組み合わせれば、栄養バランスが整った食事になります。
食事量は、「手ばかり」を使うと管理がしやすくなります。「手ばかり」とは、自分の手の大きさを目安に食事の適量とバランスを考える方法です。
主食の目安は、片手に軽く乗る量(炊飯後で100g前後=茶碗軽く1杯)です。
これを前述の基本配合で炊いた雑穀米(60%が白米、20%がもち麦、押し麦と黒米がそれぞれ10%)にすると、白米の食べやすさは残りつつ、もち麦と押し麦で水溶性食物繊維、黒米で抗酸化成分と色合いがプラスされます。
小ワザ:冷や飯・酢・食べる順番でGLを下げる
同じ食事でも、次のような工夫で体感が変わってきます。
・冷や飯
炊飯したごはんを冷ますと、でんぷんの一部が「レジスタントスターチ」という消化されにくいでんぷんに変化します。
吸収が緩やかになり、血糖値の上昇を抑えやすくなります。お弁当やおにぎりに活用しやすいポイントです。
・酢の活用
酢の主成分である酢酸という成分には、でんぷんの分解を緩やかにする働きがあります。
ごはんを酢飯にしたり、副菜に酢を取り入れたりすることで、血糖値の上昇を和らげやすくなります。
・食べる順番
最初に野菜や海藻、きのこなどの食物繊維、次にたんぱく質(魚・肉・豆類など)、最後に主食を食べると、糖の吸収スピードがゆっくりになり、体への負担を抑えやすくなります。
時間帯:活動量の高い昼に配分、夜は軽め
同じ1日量のごはんでも、食べる時間帯の配分によって体感は変わります。
・昼にしっかり
活動量が多い昼は、エネルギーを消費しやすい時間帯です。ごはんは茶碗1杯分を目安に食べ、午後のパフォーマンスにつなげましょう。
・夜は軽め
夜は代謝が落ちるため、ごはんは茶碗に軽く1盛りする程度に抑える代わりに、野菜やきのこ、たんぱく質で満足感を補うのがおすすめです。
・トレーニング日
運動後はエネルギー補給が必要になるので、白米は多め、雑穀は控えめの配合にすると吸収が早まり、筋肉の回復や疲労回復をサポートしやすくなります。
血糖値の上がり方、満足感の持続を意識した雑穀米の取り入れ方と、注意点
雑穀米は「白米より健康的」というイメージがありますが、決して「低糖質食品」ではありません。
白米のみの主食に比べて、食物繊維を始めとする栄養素を加えられて、血糖値の上がり方や満足感を工夫できる、といった点に価値があります。
それを踏まえた上で、いくつかの注意点も知っておくと安心です。
・消化トラブル
雑穀を入れ過ぎたり、急に増やしたりすることは、消化不良のもとになるため要注意です。
腹部の膨満感やガスが出やすいため、最初は少量から、段階的に増やすようにしましょう。
・食物アレルギー
そば、大豆、大麦、キヌアなどの雑穀はアレルギーの原因となることがあります。自分の体質に合うかどうかを考えて、始めは少量から試しながら種類を選ぶようにしましょう。また雑穀の商品を購入するときは、表示をよく確認してください。
・子ども・高齢者
粒の硬さや大きさによっては、噛(か)みにくさ、喉への引っかかりのリスクがあります。雑穀米を炊くときは、粒の小さい種類を選ぶ、加水量を多くして軟らかめにするなどの配慮をしましょう。
工夫次第で効果UP!雑穀米の上手な食べ方
繰り返しになりますが、雑穀米は白米と比べて糖質量はほぼ同じです。でも、食後の体感には差が出やすいのが特徴です。その理由は、次の要素にあります。
・食物繊維、たんぱく質、脂質の組み合わせ
吸収を緩やかにして、満腹感を長く保ちやすいです。
・咀嚼の回数
プチプチした雑穀の食感で、自然に咀嚼(そしゃく)が増え、血糖上昇を緩やかにします。
・食べる順番
野菜→たんぱく質→主食の順で食べると、血糖値の上昇をコントロールしやすくなります。
・配合率
白米に対する雑穀の配合比によって、食後の血糖値、消化スピード、栄養バランスの調整効果が変わってきます。
FAQ:頻度・量・配合でよくある疑問に一括回答
Q1. 茶碗一杯の糖質はどれくらい?
白米とほぼ同じで、、片手に軽く乗る量(約150g)で、約55g前後です。雑穀を混ぜても糖質量は大きく変わりません。
Q2. 毎食食べても大丈夫?
糖質量自体は白米と同程度なので、量を意識すれば毎食でもOKです。夜は活動量が少ないため、茶碗に小盛り+具材で満足感を補うのがおすすめです。
ただし、体調を崩しているときは、消化しやすい白米のみのごはんやおかゆにするなど、体に負担のないようにしましょう。
Q3. 配合でどれだけ変わる?
まずは少量から試し、体感を見ながら配合を調整します。白米に対して雑穀を20〜40%程度から少しずつ増やすと、血糖の上がり方や満腹感に違いが出やすくなるでしょう。
まとめ:糖質は「減らす」より「設計する」で続けやすく
雑穀米の糖質量は白米とほぼ同じです。だからこそ「ただ減らす」食事法ではなく、「賢く設計して取り入れる」ことがポイントです。
例えば、白米に対する雑穀の配合比を変えたり、おかずファーストを実践したり。さらに、活動量とタイミングに合わせた食事内容の調整、食物繊維、たんぱく質、脂質の組み合わせを意識する。このような視点から食事を組み立てることで、満足感を保ちながら血糖を安定させ、無理なく続けられる食習慣につなげることができるでしょう。

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